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4. 熊楠と安藤柑橘


ここでは、南方熊楠(みなかたくまぐす)と「安藤柑(あんどうかん)」についてのエピソードをご紹介しましょう。
南方熊楠は、博物学、民俗学の分野における近代日本の先駆者で、植物学、特に菌類、地衣(ちい)類、蘚苔(せんたい)類、藻類の、日本における初期の代表的な研究者です。
熊楠は和歌山城下に生まれ、アメリカやイギリスに遊学後、1904年から田辺に住み、人生の半分にあたる37年間を過ごしました。
熊楠が外遊したとき、現地で「グレープフルーツ」を食べていました。
田辺藩士だった安藤治衛門(あんどうじえもん)の屋敷にあったみかん、「安藤柑」。
熊楠は、外国の「グレープフルーツ」よりも「安藤柑」の方が優れていると考えました。
ここ上秋津を産地化して、農家にお金が入るよう特産品にしようとしたのです。
熊楠と親交のあった当時の村長、中山雲表(なかやまうんぴょう)が、上秋津に提供された「安藤柑」の苗木50本を20軒あまりの農家に配って試作をさせました。
「安藤柑」が、「グレープフルーツ」といっしょの品種だという人もいましたし、違うという人もいて、議論が分かれていました。
その論議を重ねていく中で、2019年に試験場や近畿大学で、「安藤柑」と、「唐(とう)みかん」と「グレープフルーツ」を調べてもらったところ、同じ品種だということが証明されました。
そして今、この熊楠の情熱を受け継ぎ、町おこしに役立てたいという思いから、上秋津では「安藤柑」の栽培を進めています。