7. みかんの種類



ここ上秋津では、一年間にわたっておよそ70種類もの柑橘が豊かに実っています。 秋から夏まで、季節によって、 いろいろな種類のみかんを手にすることができるんですよ。 9月頃から出回る極早生みかん「日南の姫(ひなのひめ)」や「日南(にちなん)1号」、「上野早生(うえのわせ)」。昔は、運動会にはつきもののデザートみかんでした。12月になると、温州みかんの最盛期をむかえます。炬燵にみかんが乗っている、古き良き日本の原風景に欠かせないみかんです。 上秋津では「宮川早生(みやがわわせ)」がいちばんおいしいという農家の人が多いですよ。 年が明けて、1月以降にとれる柑橘を「晩柑(ばんかん)」と呼びます。 「ぽんかん」、「清見(きよみ)」、「ぽんかん」と」清見」をかけあわせてできた「不知火(しらぬい)」。 そして、「せとか」、「三宝柑(さんぽうかん)」、「甘夏」、「セミノール」などなど。 みなさん名前を聞いたことや食べたことがありますか。 3月4月は、晩柑の種類も多くて、何を食べようか迷ってしまいます。 5月に入ると、ここ上秋津ではみかんの花が満開に咲く時期をむかえます。 この季節、上秋津にお越しいただくと、あたりはみかんの花の甘酸っぱい香りでいっぱいに包まれています。 7月には、バレンシアオレンジで柑橘の一年が終わります。 そしてまた、9月から極早生みかんで上秋津の柑橘カレンダーがスタートします。 それでは和歌山らしいエピソードをもつ柑橘をご紹介していきましょう。 「清見(きよみ)」 「清見」は、いろいろなみかんのお母さん。 「清見」は、静岡の「国立果樹研究所カンキツ研究興津(おきつ)拠点」で開発されたみかんです。 「清見」の名前は、研究所のそばにある「清見寺(せいけんじ)」というお寺の名前にちなんで、名づけられたそうです。 「はるみ」 「朱見(あけみ)」 これらも、「カンキツ研究興津拠点」でできた品種です。 「はるみ」は「清見」と「ポンカン」、「朱見」は「清見」と「セミノール」の間で生まれた、交雑種です。 名前の由来は、品種改良に携わった研修生が面白がって、研究所の近くのスナックの女の子の名前にちなんで名付けたという、面白いエピソードが伝わっています。 「三宝柑(さんぽうかん)」 三宝の語源は、神仏に供えたり、高貴な人に物を贈る際に使われた、木の供物台(くもつだい)のことです。 徳川時代、和歌山城内に原木が一本あって、形が珍しく、味もいいということで、 三方に載せて藩主に献上されていたことから、この名前がついたといわれています。 伝統のある柑橘というだけでなく、葉の上品な濃い緑色、落ち着いた黄色、ほのかで穏やかな甘みと酸味、「日本の柑橘」という雰囲気を強く持っています。 しかし、日本のあちこちにあるわけではなく、和歌山以外ではほとんどつくられていません。 純粋な和歌山生まれ、和歌山育ちの和歌山県特産の柑橘なんです。 湯浅町(ゆあさちょう)と田辺市が主な栽培地ですが、収穫量は減ってきています。 昭和40年代、和歌山県全体で2千トンもありましたが、今では4分の1程度になってしまいました。 三宝柑の皮は、苦みがなく、蒸しても型くずれしないで丈夫なことから、果肉をくりぬいて、小鉢などに使われたり、地元をはじめ、東京や京阪神の日本料理店などでは、茶碗蒸しやシャーベットの器としても使われています。 三宝柑の旬は、3月の桃の節句の頃から4月の初めまでとなっていて、まさに春の味の和歌山柑橘の代表となっています。 「バレンシアオレンジ」 豊かな香りと甘みに富んだ、夏に出回る「バレンシアオレンジ」。 国産の「バレンシアオレンジ」は和歌山県だけでしか生産されていなくて、上秋津は、その主力産地なんです。 「バレンシアオレンジ」の原産地はスペインにあるバレンシアという説がありますが、ほんとうはポルトガルで、19世紀の大西洋のアゾレス諸島経由でアメリカのフロリダ、カリフォルニアに伝わりました。 農園作業をしてたスペイン人が、バレンシア地方に植えられているオレンジに似ているので、「バレンシアオレンジ」と呼んで、名づけられたそうです。 他の柑橘と同じように5月に花をつけますが、収穫時期は最も遅い、翌年の7月になります。 開花から収穫まで、「温州みかん」なら200日程度ですが、「バレンシアオレンジ」は400日もかかります。 実を付けたまま一冬を過ごすので、冬の寒さや鳥たちから守るために、ひとつひとつ袋がけをします。 袋掛けをしない「バレンシアオレンジ」は、5月中旬頃から葉緑素と水分を取り入れて、「回青(かいせい)現象」を起こし、黄色い実が再び緑色に戻ります。 冷蔵庫でキーンと冷やして召し上がってください。 他にもたくさんの柑橘がありますので、展示でご覧なってくださいね。 |